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ぼくは仕掛け絵本が好きだ。ページを開くと絵が立体的に起き上がって来る、ポップアップ絵本が好きだ。これは子ども向きの絵本の枠を越え、3Dレイヤーのための教科書、モーション・グラフィック・ムービーの勉強にもなる精密な資料でもあるだろう。
ページの細工として様々な形状の持ち手の存在が特徴で、それを引くと絵が変化したりは勿論、匂いや音の出るタイプもある。シンプルな仕掛けから非常に複雑に作られたものまで、幅広くアイデアが展開され時にはアート性まで感じさせる、絵本の中でも最も魅力溢れるジャンルだ。
特に複雑な仕掛けに関しては、建築工学を学んだデザイナーや、インダストリアルデザイナー等、専門のクリエイターが出版社の依頼を受けて製作する事もある。開くと飛び出す装置、まるでオペラの舞台のようなきらびやかな装置、それぞれの機能を存分に楽しんだ後、その美しい瞬間を飾っておいても良いだろう。
仕掛け絵本は絵本の中でも華々しい存在である分、実は選択が難しい。多種多様の工夫を凝らした挑戦が、ブックショップの一角、子どもや幼児用のコーナー大量に並んでいる。動物ものが良いか、乗り物ものが良いのか、石器時代やギリシア時代、はたまた恐竜が叫ぶ時代が良いのか…。選択する間の知的冒険は、買い物中の最もヒートアップする楽しいひとときとなる。
子どもに与える時の考慮しなくてはならない事、それは仕掛け絵本を上手く使いこなせる感性や手先の充実も関係するだろう。年齢もあるのだが、しかし余り考え過ぎては選ぶ親も思考が停止してしまう。親が想像の世界で遊べない絵本こそ最もダメな絵本だろう。
ぼくの考えでは、大人がページに没頭出来る程度の完成度は子どもにも必要だと思う。子ども用等と考える時点で子どもを舐めている。彼らは彼らなりに非常に繊細な感性を持っているから、やはり背景造作に拘った精巧な仕掛けが良いと思うのだ。壊れてしまう事を恐れてはダメだし、修復も又仕掛け絵本の楽しみだ。
1862年7月4日イギリスの長閑な昼下がり、ルイス・キャロルが友人アリス・リデル姉妹達とのボート遊びの中で生み出した物語をモチーフにしたポップアップ絵本『Alice's Adventures in Wonderland』は、アメリカで仕掛け絵本の第1人者であるロバート・サブダの最高傑作といえる。
オリジナル版ルイス・キャロル原作本文とジョン・テニエルのクラシックなスタイルのイラストを忠実に再現し、仕掛けを加えた技術は、古典作品の味わいを損なう事無く更に魅力を引き出して、ヴィクトリア時代の雰囲気をナチュラルに伝えてくれる。
各ページに物語に沿った細かい仕掛けがほどこされ、ページを開く度に、驚きの瞬間やときめきの連続が心に訪れる。アリスの手足が家から飛び出したりトランプが空に舞ったり、細かい折り目や仕組みが複雑に構成される技術の見事さに唸り、物語が大胆かつ奇想天外、緻密で繊細に展開する様(さま)に感動してしまう。
物語が進むにつれて、『Alice's Adventures in Wonderland』の迷宮世界に囚われる錯覚を子どもならば感じるのではないか、と思う。いや、子どもで無くても、こうしたポップ・アップ絵本を眺めると、単なる3次元世界以上の何か、不思議な世界観が見える。その中に意識を入り込ませても楽しい。文字や絵との愉快な対話を通して、物語のイメージが更に膨らんでゆく。
ページごとに小さな本が付いていて、そこにも巧みな仕掛けがある。うさぎを追い、チェシャ猫が消え、お茶会に参加し、トランプの兵隊に追われる午後のひととき。ルイス・キャロル原作を短縮したテキストを読みながら遊んでいると、いつのまにか陽射しは傾き、黄金の昼下がりは過ぎていく。
『Alice's Adventures |
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『不思議の国のアリス |
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『オズの魔法使い |
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『太古の世界 恐竜時代 |
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『The Night Before |
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